《編集コラム》広報誌をつくろう! 第10回 編集実務 ~校正~
前回までの内容
- 第1回 広報誌の役割
- 第2回 広報誌ができるまで ~制作の全体像~
- 第3回 編集実務・企画
- 第4回 編集実務 取材・執筆依頼
- 第5回 編集実務 ~原稿整理~
- 第6回 編集実務 ~見出し・リードのつくり方~
- 第7回 編集実務 ~書体の使い方~
- 第8回 縦書き、横書きの基礎知識
- 第9回 印刷に適した画像データ
校正とは
広報誌の制作過程において、校正とは誤字、脱字をチェックしたり図版の位置や全体のイアウトに間違いがないかなどを見つける作業のことです。
誤りを発見した時は、赤色のペンで校正記号を使って修正指示を書き込みます。
このコラムの「第5回 編集実務 ~原稿整理~」でも紹介しましたが、執筆者から記事原稿を受け取った際に「原稿整理」という形で、テキストに関してある程度間違いの少ない原稿に整えた上で、デザイナーや印刷所にデータを引き渡します。
その後、デザインやレイアウト工程を経て、実際の紙面が「初校」として完成したら、紙面全体を眺めて本格的な校正作業を行います。
紙面が最終的に「完成品」として多くの読者の目に触れるわけですから、この段階での校正作業は責任の重い作業ともいえるでしょう。
編集者も一人の読者になったつもりで眺めてみて、伝えたい情報が間違いなく伝えられるかを、あらゆる角度から確認します。
「校正=間違いを探すこと」
言ってしまえば簡単ですが、これがなかなか難しい作業なのです。
いくら慣れた人でも、一人で100%完璧に間違いを見つけ出すのは至難の業。
やはり人による目視や、各々の感覚に頼る作業ですから、どこかで見落としたり集中力が途切れてしまったりすることがないとも限りません。
校正精度を上げる方法は主に二つ。
一つは、一人で何度も確認すること、さらに編集部の複数の人が参加して、なるべく多角的な視点からチェックすること。
校正に王道はなし。そうした地道な作業の繰り返しが大切なのです。
校正のやり方
校正の流れ
校正の基本は、まず大まかにページ全体を見ること。
その後ひとつ一つの記事について細かく見ていくという手順が一般的です。チェックポイントを見ていきましょう。
①ページ全体を見る
校正刷りを少し離れて眺めて、以下の項目をゆっくりと確認します。
・広報誌タイトル、号数、発行日、発行者などの情報が正しいか
・ページが順番通りで正しいノンブル(ページ番号)が付いているか
・見出し、本文、画像などのレイアウトが適切に配置されているか
➁ひとつ一つの記事を見る
校正刷りを右に、元原稿を左に置いて、細かく引き合わせを行います。
・見出し、小見出し、本文は正しい大きさで指定の位置に入っているか
・誤字、脱字がないか
校正は、1回目は字面を追うことだけに集中する、2回目は意味や文章のつながりを考えながら読むなど、視点を変えて何度も繰り返すと効果的です。
1回読んだだけでは気づけなかった間違いも、2回、3回と繰り返すうちに気づくこともあります。
さまざまな校正方法
【引き合わせ校正】
原稿と校正刷りを引き合わせ、一人でする校正。
見落としの率は比較的高い。
【読み合わせ校正】
読み手(音読する人)と聞き手(チェック・訂正する人)が二人一組になって行う。
誤りを発見しやすく見落としが少ない。
【素読み校正】
原稿やレイアウト指定紙を参照しないで、校正刷りだけを読む。
デザインや文書の全体的な矛盾点やミスを見つけやすい。
校正記号の書き方
印刷業界で使われている校正記号は、下記のページで紹介しています。(日本印刷産業連合会)
https://dr-helvetica.com/assets/kousei_kigou.pdf
こうして初校に対して校正を行い朱書き部分を修正してもらった後、再校紙を出してもらいます。
再校では、初校での朱書き部分が直っているかどうかをチェックするとともに、さらに修正すべき点がないかを再度校正して確認。
朱書きを入れた後、三校目に進むことになります。
校正、修正のやりとりを繰り返し、直す部分がなくなれば赤で「校了」と書き入れて印刷工程に進めてもらいます。
また、軽微な修正で、最後のチェックを印刷所に任せて次の工程に進む場合は「責了」と書き入れます。
さらに校了後に、色味にこだわる広報誌の場合は「色校正」という工程を挟む場合もあります。
事務所のプリンターの出力は本番の印刷色とは異なるため、印刷会社に校了データを渡し、本来使用する印刷機や印刷用紙を使って、完成品に近い校正刷りを出してもらって、画像やカラーのチェックを行います。
各種メディア制作のご案内はこちらをご覧ください。
https://create.graphic.co.jp/